海外に住んでいるのだから

まさに森の国

こうしてスカイトレインの終点で降りたまではよかったが、そこで待てど暮らせどバスは一向にやってくる気配がない私はただ原っぱが永遠と続くこのよくわからない地域で、ひとりポツンと1時間もバスを待ち続ける羽目になった。
ようやく来たバスに乗り込むも、少し物思いに耽ってしまった間にどうやら目的地は通り過ぎてしまったようで、慌てて次の停留所で降りたものの、既にそこは目的地からかなり離れてしまっていた反対方向に向かうバスを待つために再び1時間も無駄にするのは嫌だったので、私はそのままバスの来た道を徒歩で歩いて戻る。
多少の距離は覚悟の上だ。昨日まではあれだけ曇っていた空も、何故かこの時ばかりは太陽が燦燦と降り注ぎ、ライダースジャケットをまとった私を汗だくにする耐えきれずショートカットをしようとした結果、ハイウェイの端を歩かなくてはならない羽目に陥ったりと、それはもう散々な徒歩旅行となった。
それでも何とか目的地らしい巨大な倉庫を発見した私は、警備員にピーターからの菩類を見せ、自分が決して不審者ではないことを伝えた。
警備員はそこで待てと言い残すと、警備小屋から内部の人間に電話をしてくれた「おいお前、まさか市内から歩いてきた訳じゃねえよな」木陰でひたすら身体を冷やすことに専念していた私に、野太く乱暴な英語が投げかけられる。
私はそれが自分に対しての言葉だと理解するために、少々の時間を必要とした。
顔を上げると、まさにハリウッド映画に登場するパブで酔っ払って主人公に絡んでくるような--そんなビール樽のように太った中年男性が私の視界に入った。
「あ、どうもこんにちは。ああ荷物の引き取りに来た者だけど……」「ああ、聞いたよ。何だお前、酷い英語だな」ひ、久しぶりに英語を話してるんだからしょうがないだろ「がははは、まあいいやお前の荷物の番号は警備員に聞いたからな。
ついてこいよ」きびす男はそう言い放つと踵を返して再び倉庫の中へと入っていく私も慌ててライダースジャケットを引っ張ると、その男についていったおいお前、日本人か。
名前は何てんだ?「ああ。俺はコータローだ」まあいいや。「変な名前だな。コータロー、お前の荷物ってのはありやバイクか?」「そうだよ。ここから旅を始めようと思ってね」ふーん。のんきでいいやな。ほら、見えてきたぜ。あれだろ?男はそう言うと、倉庫内にまばらに置いてある荷物の中でも、特に奥まったところに鎮座しているラップでぐるぐる巻きにされたパレットを指差した。
「あった!そう、これだよ。

カナダではあれほど晴れに恵まれていたにもかかわらず

ありがとうえぇと……」バットだ。俺はバットありがとうパット。あの……ここで荷物を解体したいんだけど、いいかな?「ああそれなら外まで運んでやるから、そこでやんな」バットはそう言うと、フォークリフトを運転してファラオのパレットを庭先まで運んでくれた。
とにかく愛機に傷や凹みがないか確認私はバットに再び礼を言うと、そのままがむしゃらにラップを剥ぎ取り始めた。
したかったのだラップを取り払うと、幸いなんの外傷もないファラオと1ヶ月ぶりに対面できた。
ものの15分程度でバ私はあらかじめ用意していたモンキースパナを取り出すと、それを使って鉄枠を解体していく。
レットは完全に解体され、ただの鉄材となって庭の端に積まれた。一緒に梱包してあったメットと野宿セット、それにボックスの中身を確認する。
前回のインドへの発送では、一緒に送ったバッグにロックをかけていたせいでこれはおそらく税関でやられたのだと思うが!見事にファスナーが切られていた。今回はその反省を活かしてボックスに鍵はかけていない。荷物も全て無事確認できた私はそこで一息ついた。一服をしながら、私はこの時点で発生していた2つの問題を解決すべく考えを巡らせる。
ひとつはこの鉄材の処理解体したはいいが、果たしてこれはどうするべきか。
まさか東京の倉庫のように持ち帰る訳にもいかな少なくても私が歩もうひとつは、ファラオに乗ってユースに帰るためのガソリンを何処で手に入れるかという問題だ。
いてきた経路にガソリンスタンドはなかった。いずれにしても、このどちらもひとりでは到底解決できそうになかったので、私は一先ずバットを捜して訊いてみることにした私が声をかけると何か面白いことでもありそうだとばかりに、倉庫の奥でバットは何やら作業に勤しんでいたが、すぐこちらにやってきた。
ああ?この鉄材か?そんなもの、そこにそのままうっちゃっておけばいいさええ?本当にいいの?迷惑にならないかな?がははは。こんなに広い敷地なんだ。誰も気にしやせんさそれと何処かこの辺りでガソリンが手に入あ、ありがとうパット。
それじゃお言葉に甘えてここに放置させてもらうよ。るところはないかな。このバイクに乗って帰りたいんだけど、ほら、こいつは今空っけつだから……ああ、そうか。
ガソリンの入れもんはあるのか?「一応キャンプで使うガソリンバーナー用のボトルを持ってきているよ」そんじゃ俺が車で連れていっ「そうか。
ガススタンドはちょっと遠くてな。ここから歩いていくのはかなり骨だな。よし、てやるよ」ええ?だけど仕事中なのにいいのかい?「構わんよ。

 

日本で語学学校をしっかり決めて

アメリカ合衆国の中でもドイツ人排斥運動が起きた帰国後仕事をしていく中で感じていますしかし実際には

どうせガソリンがないとお前、帰れないんだろ?それじゃ俺の仕事も終わらんからな」「ちょっと待ってな。今俺の車を回してくるから」バットはそう言うと、そのまま車を取りに庭を回って敷地の奥に歩いていった。
30分ほど走ってガソリンスタ私を乗せたバットのステーションワゴンは、私が歩いてきたハイウェイをそのまま戻り、ンドに到着する私はそこで持ってきたガソリンバーナー用のボトルに、ガソリンをなみなみと注いだ。
給油を完了した私は再びバットボトルの容量はおよそ1リットル。再びここに来て本給油をするためには十分だろう。の車に乗り込むr-で、コータロー。これからどうするんだ?「ああ。一先ず今日は市内のユースに戻って、明日にはエドモントンに向けて出発しようと思う」そうだなところでお前、保険は入っているのか?
保険?自賠責保険に入ってなきゃいけ何だ、やっぱり知らないのか。ここブリティッシュコロンビア州で車輌を走らすにはな、ないんだぜ自賠責?
それって俺みたいな外国人でも入んなきゃいけないのか?「多分な。無保険で捕まったら結構な罰金を取られるんだ」そうか.....。ちなみにいくらくらいかかるんだ?「さあな。俺らは普通の奴に入ってるから、お前が入んなきゃいけない奴とは種類が違うだろう。
よし、ちょっくら保険屋に寄ってくか。そこで詳しい話を聞けばいい」「そ、それは助かる。重ね重ねありがとうパット」がははは。気にすんな。いちいちありがたがる奴だな。何だ、日本人ってのはみんなこうなのか?一度倉庫に戻った私はボトルのガソリンをファラオに注ぎ込む。すると愛機は1ヶ月間も眠っていたのが嘘のようにセルだけでエンジンを始動させた。

とても便利で私はそのままヘルメットをかぶると、先導してくれるパットの車のあとに続く。
カナダの道を堪能する間もなく、私たちは保険事務所にたどり着いた。
実際ここで聞いた話はパットの話と全く同じで、やはり自賠責保険の義務は外国人である私に対しても例外なく課せられるらしい。
そこで私はこの保険屋に相談して、このブリティッシュコロンビア州を出るまでの3日間分だけ保険を購入した。
料金は49カナダドル。日本円に換算して大体3000円ちょっとか。まあこの出費に関しては仕方ない。事務所を出ると、私はバットにお礼として日本から持ってきていた折り紙の髪飾りをあげた。
もちろんバットにではなく、まだ小さいという娘さん用としてだ。「バット、本当に色々ありがとう。バットがいなければ大変なことになっていたよ」いいってことよ。それよりもこんなものをもらっちゃっていいのか?これ、これからの旅でいくらでもあげなきゃいけない人が出てくるだろう?
いやいいんだ。
カナダへ渡航できるのです
カナダへ渡航できるのです

英語に全然ついていけない

カナダ最悪の道むしろこんなものしかなくて悪いけどさ。これで俺もようやく旅を始められる「そうか。コータロー。気をつけてな。お前の旅の幸運を祈ってるぜ」ああ。ありがとう私は元気よくバットに別れを告げるとそのままファラオにまたがり、今度はセルではなくキックでエンジンをかけてみた。
以前の旅の相棒パリダカがキック始動だったこともあり、何となくこっちの方がこれから旅を始めるのに適しているような気がしたからだった。
保険事務所の前でいっまでも手を振り続けるパットをミラー越しに眺めながら、私はカナダの広すぎるハイウェイを慎重に走り出した。
クライドの正体幸い昨夜から降り始めた小雨は朝方にはやんでいた私ははやる気持ちを抑えきれず、まだ日が昇りきる前から起きてパッキング等の準備を始めていた。
そう。2年の時を経て今日より再び大陸の旅が始まるのだ。久しぶりのフル装備パッキングを終えたあと、私は日本から用意してきたバイクサークルのステッカーをタンクに貼りつけた。
日本で世話になった彼らの、せめて思いだけでも一緒に連れて南北アメリカを縦断するというささやかな証だっノッチたちとの合流予定は3日後に迫っていた地図で確認したところによれば問題ない距離だったが、道中何が起こるかはわからないましてや私たちの連絡方法は、何処にあるとも知れないネットカフェや図蓍館からのメールに限られる。
集合に遅れることで彼らに余計な心配をかけたくなかった。私は唇が熱くなるまで吸った巻き煙草を捨てると、暖機の終了した新しい愛機XL600Rファラオにゆっくりとまたがり、アクセルを開けた季節は5月末。
北半球はまさにこれから夏を迎えようという最高の季節だった。とは言え、カナダはその位置する緯度のためかまだかなり肌寒い。しかしその気温すらも、1ヶ月ぶりにライダーに戻った私には心地よい緊張感を与えてくれた。
イクでバンクの街を走っているとがどうにも素晴らしい街のような気がしてくる。
これは徒歩で活動していた時には思いも寄らなかったことだ。考えてみると前回の旅を始めた時には、私にとってバイクは単なる移動のための手段に過ぎなかった。
もちろん嫌いな訳ではなかったが、バイクの有無がこれほどまでに自身の心持ちを左右することはなかったのだ。
何と言うか、しかしユーラシアの旅や、その後の2年間にわたる出稼ぎの旅を経て、バイクはもはや私にとって身体の一部となって極端な話、こいつなしでは多少性格が変わってしまうくらい、私にとって単車はかけがえのない存在になっていたのであるそしてそんな相棒と共に何処までも走り続けられる生活-それこそが私にとっての大陸横断であり、旅だった。

特に気になる事ですね

私が誰にも気兼ねしない唯一の居場所-それはこのシートの上をおいてほかになかった。
エドモントンよりも60キロほど北に存在する小さな町だ。西海岸に面したバンノッチたちとの集合予定地クライドは、クーバーを出発した私は、ロッキー山脈を越えてまずはカルガリー、そしてエドモントンを目指すことになる。
直近の目的地はロッキー山中にあるバンフだ言うまでもなくこのロッキーと南米のアンデスである。
南北アメリカ大陸においてもっとも有名な山脈は、奇しくもその双璧のひとつにいきなり挑むことになり、私は若干気持ちを引き締めたしかし広い。
それにしても広い。山脈に入るまでは何処までも続く一直線の国道と、かわり映えしない見渡す限り一面の草原といった景色が永遠と続く。
それは私のスピード感覚を鈍らせ、スピードメーターはすぐに120キロを超えてしまう。
私はその度に自制に努めるこういった地形では得てして急に強風が吹き荒れ、なまじスピードを出して走っているとあっという間に舗装道路から押し出されてしまう。
これこそまさに前回の旅で何度も受けた仕打ちだった。あまつさえ私の場合、女ひとり分にも及ぶ荷物を積んでの走行だ。パッキングされたバイクの特性として横風には滅法弱い。今後もこうしただだっ広い平原を走ることが多くなりそうなため、今回の旅では、もう少し風についての対策を考えておく必要があるかもしれない。
僕の大学の同期からは


帰国後仕事をしていく中で感じていますしかし実際には 混血とあらゆる人種がひしめいていて 私の妊娠時には